AdWords の広告ローテーションの変更は邪悪なのか? ~ admarketech.
admarketech.com
最近立て続けにAdWords のマイナーチェンジが発表されていますが、その中に、「広告のローテーション設定の変更」が含まれています。
具体的には、広告グループ内の複数の広告を均等に配信する「ローテーション」オプションが、これまでは恒久的に均等配信だったものが、今後は30日間均等にローテーション表示されてから、その後は「クリック重視で最適化」へ自動的に変更されるとのこと。
New Changes to Ad Rotation - Inside AdWords
http://adwords.blogspot.jp/2012/04/new-changes-to-ad-rotation.html
すでに現時点(2012年5月4日)でもヘルプに反映されています。
広告のローテーションは改悪という論調
Petition: Google Adwords: Allow advertisers the option of continuing to rotate ads indefinitely. | Change.org
http://www.change.org/petitions/google-adwords-allow-advertisers-the-option-of-continuing-to-rotate-ads-indefinitely
Sign The Petition To Keep Control Of Your Ad Rotation Settings | PPC Hero®
http://www.ppchero.com/sign-the-petition-to-keep-control-of-your-ad-rotation-settings/
訴状では、大企業であればそれほど問題ではないかもしれないが、トラフィックや予算の少ない中小アカウントでは、広告のテストには1ヶ月以上、時に数ヶ月を要するので、30日間というGoogle の設定には根拠がないし、これが強行されれば、Google はたくさんお金を使ってくれる大手広告主ばかりを優遇しているという誹りを免れないのではないかと訴えています。
広告の「ローテーション」が意味するもの
クリック重視で最適化(デフォルト): クリック率の高い広告が広告グループ内の他の広告より頻繁に広告オークションにかけられます。このような品質の高い広告が広告グループの他の広告より多く表示されるため、広告配信率も高くなります。このオプションを使用すると、品質の高い広告の掲載順位が高くなり、より多くのユーザーにアピールできるため、広告グループ全体の表示回数とクリック数も増える可能性があります。コンバージョン重視で最適化: コンバージョン率の高い広告が広告グループ内の他の広告より頻繁に広告オークションにかけられます。このオプションではコンバージョン重視で最適化が行われるため、クリック率(CTR)とコンバージョン率の両方が考慮されます。コンバージョン率の最も高い広告を判断できるだけの十分なコンバージョン データが蓄積されていない場合、広告は [クリック重視で最適化] オプションのデータを基にローテーションで表示されます。このオプションを使用すると、広告グループ全体のクリック数は、クリック数を重視して最適化した場合よりも少なくなる可能性がありますが、コンバージョン数の増加が見込めるため投資収益率(ROI)の向上につながります。
均等にローテーション: 現在、このオプションでは、広告が均等にオークションにかけられ、クリック率が低い広告もそれ以外の広告と同じ頻度で表示されます。広告グループ内の広告の表示回数と広告配信率は、2 つの最適化オプションのどちらかを使用した場合と比べて均等になりますが、広告の掲載順位は品質スコアに基づいて決まるため、表示回数と広告配信率は広告ごとに異なる可能性があります。
今回議題に挙がっているのは、最後の「均等にローテーション」の部分です。これが30日後には自動的に「クリック重視で最適化」、つまりデフォルトの設定に戻ってしまうので、広告のA/Bテストを行うための充分な期間が取れない可能性があるというのが、今回盛り上がっている反対意見の一番の理由です。AdWords はほとんどの場合クリック課金なので、強制的にクリック重視で最適化(=CTRの高い広告の配信比率が上がる)にすることは、そのままGoogle の収入を増やすことにつながります。広告主の選択肢を強制的に狭めて金を儲けようなんて悪だ!というわけですね。
しかしながら、反対の根拠になっている均等なローテーションやA/Bテストは、みんなが思っているように本当に均等に表示されているのでしょうか。
上記の引用にはこうあります。
広告グループ内の広告の表示回数と広告配信率は、2 つの最適化オプションのどちらかを使用した場合と比べて均等になりますが、広告の掲載順位は品質スコアに基づいて決まるため、表示回数と広告配信率は広告ごとに異なる可能性があります。
これは、広告の均等ローテーションを設定したとしても、AdWords がもともと品質スコアに基づいて順位や表示可否が変動するモデルのため、広告の表示回数と配信率は必ずしも均等ではないことを意味します。つまり、均等にローテーションとは、「表示回数の均等」ではなく「表示の機会均等」ということになりますね。
ある広告に対してもう一方の広告のCTRが悪かったとして、CTRは品質スコアの決定にとって大きな要素ですので、あまり良くないCTRの広告を機会均等で残しておくことは、広告グループ全体のCTRの低下につながり、それはそのままCPCの上昇につながります。ユーザーにとっても、CTRが良くない広告というのは自身の求めている情報と関連性が低いということになりますし、ユーザー体験の向上とマネタイズを両立させているGoogle にとっても、広告の機会均等が長々と続くことは良いことではありません。
個別の事情はあるにせよ、ステークホルダーである広告主、ユーザー、Google(GDNの場合はサイト運営者)の3者にとって、長期的に見たバランスを考えると、今回の変更を邪悪な振る舞いと言い切るのは少し難しいような気がします。
選択肢は用意されているのか
AdWords キャンペーン エクスペリメントのご紹介 - 広告のテスト ツール
http://adwords-ja.blogspot.jp/2010/12/adwords_10.html
キャンペーンエクスペリメントの詳細は上記の公式ブログを参照いただければと思いますが、ポイントしては以下に記載された部分だと思います。
広告のローテーションとの違い
これまで広告のローテーションを使用することで、複数パターンの広告の掲載結果を比較されていた広告主様も多くいらっしゃることと思います。キャンペーン エクスペリメントを使用するメリットは、テストするトラフィックの割合を指定できるところにあります。広告の表示タイミングを指定できるなど、広告のローテーションよりも柔軟な管理が可能です。広告のローテーション(キャンペーンの [設定] タブ)の設定は、テスト用の広告グループにも適用されます。「最適化」または「均等」の設定に応じて、通常の広告グループにある広告がローテーションで表示されると同時に、テスト用の広告グループにある広告もその中でローテーションにて表示されます。
キャンペーンエクスペリメントは、テストや検証に特化したツールのため、トラフィックの割合やタイミングを指定できるなど、ローテーションより柔軟かつ正確なテストが可能です。もともと、このテストツールが公開された2010年から、ローテーション配信の意味は徐々に薄れてきていました。テストとは名ばかりで放っておかれるケースも多いので、本当にちゃんとA/Bテストをするのであれば、本来はローテーションではなくキャンペーンエクスペリメントを使うべきなのでしょう。
キャンペーンエクスペリメントの設定方法は以下の動画が詳しいです。(英語ですが日本語字幕がつきます)
See Video: http://www.youtube.com/watch?v=veJCihRjb2E
もちろん、今回の措置によって影響を受ける広告主は多いでしょうし、Google がさらにお金儲けに走ったといえば、それはそれで一定の真実を含んでいると思います。
一方で、前述のとおり、Google にとってのマネタイズの鍵はユーザー体験の向上であり、それは検索で言えば端的に品質スコア(≒CTR)で計量されます。関連性の向上がないと、広告主もユーザーも幸せにはなりませんし、AdWords のシステム自体がそのように構造化されています。
今回の広告ローテーションの変更をきっかけにして、A/Bテストの方法や日々の運用を見直すきっかけになればいいですね!
Original Page: http://www.admarketech.com/2012/05/adwords.html
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