日本はSEM後進国なのか否かの考察(3) / 検索エンジンマーケティング考
by sembear, sembear.comNovember 30th -0001
日本はSEM後進国なのか否かの考察(3)
で前回の続き
(1)アメリカの広告主のCVRの高さ
(2)アメリカの広告主の許容できるCPA上限の高さ(ROASの低さ、と言い換えてもよい)
これらがなんで「根本的かつ根源的な日本とアメリカとの差異」につながるのか、ということがまだまだ疑問を持たれているのではないかと思っています。でもこれがね、やっぱり根源的な問題なんですわ、ってことで第三章に続きます。
ってことを踏まえて、前回の内容をもう少し数字として落とし込んでみましょう。
仮にCVRが平均して3倍高くて、許容できるCPAが2倍高い場合、理論上上限のCPCは6倍高くなりえます。つまり媒体から見ると、1クリックあたりの売上が6倍違うわけですね。仮にカバレッジ(検索回数に対してリスティング広告が表示された割合)とCTR(インプレッションベースではなくQueryベース)が同じになると、媒体の売り上げは6倍違うわけです。いや、これはでかいですよ。仮にCVRが5倍、CPAが3倍高いとなると理論上のCPCは15倍も違うわけだ。もう次元が違うわけです。
#実際にCPCが6倍とか15倍も違うってことはない。そこまでの差はない。
#ただしに前回の補足でも書いたようにCTRも米国の方が高い、という現実もあるので
#検索一回当たりの売り上げについて、歴然たる格差は存在する。
つまりね、アメリカのSEM業界というのはそもそも広告主の経営的・経済的体力が圧倒的に高いという前提があり、検索ユーザーのリテラシーの高さも相まって、媒体(つまりGoogleのことだ)としては非常に収益性が高くさらなる改善・投資も可能になり、その結果市場としてのSEMは非常に大きなものになっているわけです。ちょっと嫌味な言い方になるかもしれないけれど、媒体として巨大になれば、効果測定ツールとかSEMコンサルティングファームとかも比例して大きくなっていくわけです。それがいわゆるecosystemってやつ。
で、そうなってくると
(1)当然人も集まります
(2)各分野のエキスパートが生まれます
(3)シリコンバレーがそこに油を注ぐとInnovationが生まれます。
つまりね、異論反論もちろんあると思うけれど、特に検索分野においてGoogleがInnovationの中心だってのはもう紛れもない事実なんだけど、仮にアメリカにおいて、今までに書いたような検索ユーザーのリテラシーの問題とか広告主の粗利幅の問題とかがないという状況下だったら、Googleが今のような成長を無しえたのか、っていうと個人的にはちょっと疑問なわけです。もっと誤解を恐れずに書いてしまえば、Googleが日本にあったら今のような成長はあったのか?ってことね。
#ま、そうだとしてもなにか別の成長のDriverをGoogleは見つけたと思うけどね
#よくある「日本からGoogleみたいな会社が出てこない理由」とかっていう記事も
#こういう観点から見ると結構感慨深いものがある。
で、話を戻しましょう。仮にInnovationが起こったとしても、それが実践で活用されることがないとビジネス的なインパクトはないわけです。ところが、粗利的・経済的なな意味での体力が高い広告主が多い市場は、そういうInnovationに対して実験的な取り組みをかなり早い段階から進めることができるし、かつ早い段階でもそれなりの数の広告主が取り組むことができるってことなんですよ。となると当然改善スピードも速いし、ビジネス的な成功までの時間も短い。
で、これらの部分はは、実は前回書いた
このBlogを読んでくれているモテモテで困っているリスティング男女は、アメリカと比較するとそもそもCVRが低くてCPAの許容幅が低いクライアントの効果改善を頑張ってるわけですよ。つまりアメリカのリスティング男女が陸上競技場で100m走の記録を測定しているのに対して、足場の悪い砂浜かつ向かい風の中で100m走の記録を測定しているようなもんですね。仮に横で照英とか松岡修三が横で応援してくれているとしても、すでに条件面として不利なんですよ。なので、リスティング運用のテクニックとか、分析とか、そういうノウハウ面で言えば日本のリスティング男女がアメリカよりも劣っているってことは絶対にない。
この部分に関連してきます。
つまりね、前回も書いたように確かにノウハウ面で言えば日本のリスティング男女が欧米のそれと比べて劣ってるってことはない。さらに原則として主たるInnovationがアメリカ発だという部分や日本語の言語特性、CPAの条件面とかを鑑みてみれば、日本で一流と言われているリスティング男女のノウハウや広告運用は米国のリスティング男女と比べて優れている部分の方が多いと思う。
ただ、日本のリスティング「業界」が欧米のそれと比較してそれだけ人を惹きつける魅力があるのか?そこで働いている人の専門性は?かつ日本発のInnovationって?(いや、あるにはあるんだよ)って考えると、実は「産業」として日本のSEMはアメリカと比較すると「後進国」と言わざるを得ない部分もあるわけです。もちろん日本で一流と言われている人たちは素晴らしいけれど、残念ながらその人数は米国の方が圧倒的に多い。悔しいし、認めたくないけれど、これはある種の事実だと思う。
#つか俺自身Innovationを推進していくべき立ち位置でSEMに絡んでいるはず
#なのでこれは自分に対する強烈な反省でもあります。はい。
#実はリスティング男子がモテる、ってのはこの事実を打破したいがための一つのテーマではある
#9割ギャグだが
さらに続こう、これは必ずしもSEMだけで発生する現象ではなく原則としてはターゲティング型広告全体において発生する現象なんですね。となるとだな、SEMに限らない周辺領域、領域同士の関連性(アトリビューションとかその例だね)の成長とか進展なんかも全然米国の方が早かったりするわけです。そうなると生態系の違いとか文化の違い、とかもろもろあるんだけど、ある特定の文脈においてアメリカと比べて日本が遅れている、という表現自体は間違いじゃないと思ってます。ただそれは日本とアメリカのSEMにおけるレベル差ではなくて、それはもう産業そのものの構造とか検索ユーザーのリテラシーとか、もうSEMだとかリスティング広告だとかという次元を超えた部分の違いだと思うんですね。
で、唐突ですが、実は4月にAdTech San Franciscoに行ってきます。sembearがたまに海外のカンファレンスにいっていろいろ調べてくるのか、という理由は実は今までに書いてきたようなところに原因があります。
ってのは、アメリカの市場、文化などを前提にしている広告プラットフォームとかビジネスモデルって日本にガンガン輸入されているわけですね。で、今までに書いたような差異とかマクロの視点を抜きにプラットフォームとかビジネスモデル、Ecosystemに取り組んだりすると、そりゃずっこけたりもするわけですよ。だって前提が違うんだもん。
そういうマクロの視点での違いを踏まえたうえで米国がどういう方向性に動いているのか、日本の市場性や文化を踏まえると、日本にどういう影響があるのか、アメリカで発生した現象、事象は同様に日本でも発生するのか、ってのを分析する上では、こういう機会がないとなかなか考えがまとめられなかったりするわけです。
つまりあれね、むやみやたらに米国のモデルをそのまま輸入したところでうまくいかないケースって多々あるわけよ。そういう時って大体今までに書いたような(それ以外にもたくさんある)ビジネスの背景の違いを理解していないことに理由があることの方が多いなと思ってるわけです。
というわけでサンフランシスコに行かれる方、現地で遊びましょう。
sembear
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Original Page: http://www.sembear.com/item/598
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