2012年5月27日日曜日

「広告の時代は終わり」だと考える理由

「広告の時代は終わり」だと考える理由

by Hideki Ikemoto, nextstep.shogizuki.com
November 30th -0001

この前書いた「はてなブックマーク禁止&AdSense削除しました」で『個人的にはもう「広告の時代は終わり」と思ってます。』と書きました。また別途書きたいと思ってたところ、ちょうどTechCrunchが以下の記事を出した。
自分もこの記事に書かれているように、モバイルと、FacebookとGoogleの収益モデル、つまりは「広告」とは相性が悪いと思います。せっかくなので、自分が広告をどう思っているか書いてみます。

Webの「広告モデル」は曲がり角


まず、Webサービスの収入源としての広告が曲がり角に来ています。そもそも、インターネットでは嫌われ者だったはずの広告が、突然もてはやされ始めたのはなぜでしょうか。一番大きいのはGoogleの成功と、それを支えたAdWordsという検索連動型広告でしょう。ユーザが能動的に検索した単語を元に広告を出すため、そこに広告を出すのは自然な流れです。このAdWordsは「よりよい検索結果が欲しいユーザ」「自社サイトに誘導したい広告主」「収入が欲しいサイト」のWin-Win-Winの関係をもたらしました。 また、Amazonのアフィリエイトは以下のように脈絡もなく貼られることもありますが、書評サイトにその本のアフィリエイトを載せるといった、ユーザにも役立つ使われ方も可能です。 一方で、バナーやAdSenseのようなWebサイトに貼るその他の広告は、ユーザから見ると邪魔なだけです。そして、グルーポンを批判した記事にグルーポンの広告が貼られるように、広告の効果も疑問です。記事を掲載したサイトに収入は得られるものの、新聞の購読料などに比べると微々たるものです。 そのため、質より量とばかりに、広告を見せるためには手段を選ばなくなってきています。FlashやアニメーションGIFを使ったチカチカした広告を出したり、酷いものだと広告を見ないと先に進めないこともあります。2ちゃんねるコピペサイトに限らず、最近は大手メディアですら「煽り見出し」を多用していますが、これはとにかく煽ってアクセスを集めた方が広告がクリックされて儲かるというゲスな考えが理由でしょう。 そこで、最近は広告モデルに見切りを付け、直接お金を払ってもらう方法を模索しているところが増えてきています。昔ながらの有料サービスもありますが、Evernoteやニコニコ動画のような、基本機能は無料、よりよいサービスを得られたければお金を払う「フリーミアム」も非常に多いです。また、ブログは一般受けのする軽い記事にして、濃い記事は有料メルマガで配信するのも最近伸びているように感じます。
しかし、Webでの広告は完全に廃れるとは思いません。使いどころを間違えなければ気軽に使える収入源だからです。ユーザは間違ってクリックしてもせいぜい新しいウィンドウが開く程度なので、興味がなければそのまま閉じてしまえば終わりです。

広告とモバイルの相性を悪くする「シングルタスク」「シングルウィンドウ」


ではモバイルでの広告はどうでしょうか。PCのWebと違って、広告の存在が無視できないほど苦痛なのがアプリの世界です。

試しに広告の比率を冒頭に挙げたTechCrunchの記事で計ってみたところ、6.5分の1の面積が広告でした。一方であるiPhoneアプリで計ってみたところ、9分の1が広告でした。比率こそWebに比べてiPhoneアプリの方が小さいものの、非常に小さいiPhoneの画面では広告が非常に大きく感じます。

そしてPCのWebと違って致命的なことに、この広告を間違ってタップしてしまうと、ブラウザが開いて現在の作業が中断されてしまいます。これはモバイルOSのシングルウィンドウという性質によるものです(もちろんシングルウィンドウはモバイルOSの利点でもあります)。別アプリを起動してしまうという欠点はAppleのiAdでは発生しませんが、アプリが中断されてしまうという根本的な欠点は解消しません。 また、モバイルではお金を払うシステムが整備されているところがWebと全く異なります。そして、広告を見ることで不便になるくらいなら、お金を払う方がまだいいという人も多いでしょう。これらを総合して「モバイルと広告は相性が悪い」ということです。

以上のような理由で、自分は一部の例外を除いて広告が嫌いです。嫌いなものを勧めたくないので、このブログからもAmazonアフィリエイトを除いて広告を外しました。そして、ブラウザにはAdBlock拡張を入れて広告を出さないようにしています。その代わりに、アプリやコンテンツなど、お金を払うだけの価値があるものはお金を使うようにしています。

Original Page: http://nextstep.shogizuki.com/2012/05/blog-post_15.html

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