Google Think Insights(Ad Planner)が凄すぎるので使い方まとめ -基本データ編-
misclog.com | Nov 30th -0001ユーザーの年齢層・学歴・世帯収入などが知れると話題になっている「Google Think Insights」のDoubleClick Ad Plannerを触ってみたら凄い事になっていたので、使い方や雑感など。
※メディアプランの作成あたりまで書きたかったんですが、長くなったので今回はやめました。このエントリーはサイトリサーチデータの見方的な内容になってます。
DoubleClick Ad Plannerって?
広告掲載を最適化する為のプランニングツールです。
プロモーションを行うにあたり、ここに広告を掲載すればこんな人たちにこのくらいリーチできるよ。なんて事を分析できるツールです。これ自体は2008年くらい?からあって、その時は「へー」くらいにしか思ってなかったんですが、改めて使ってみると、マーケッターのみならず制作者にとってもおもしろいツールなんじゃないかと思います。
「実態とはかけ離れている」という報告もあったりと、数字の信憑性についてはいろいろと議論が巻き起こっているようでありますが、自分の管理するサイトだけでなく、他サイトのユーザー属性まで知れるというのはなにこれすごいと言わざるをえないというところだと思います。
実際に使ってみる
最近GoogleからリリースされるサービスはしゃれおつUIのものが多いですが、Think InsightsもGoogleらしからぬしゃれおつUIです。
1.Think Insightsにアクセス(googleログイン必要)
2.Planning toolsからReal-Time Insights Finderをクリック
3.Real-Time Insight Toolsタブ内のAd Plannerをクリック
Ap Plannerに行くと、いきなりWikipediaが検索された状態でスタートします。
まずは対象地域を「日本」にしておきます。もちろん、その他の地域のデータを見たい場合は見たい国名を選択します。
画面と数字の見方
以下、デフォルトで検索状態になっているWikipediaをもとにした解説です。
トラフィックデータ/一日のユニークユーザ数
データは1ヶ月間のトラフィックデータです。
地域/全ての国
意味はそのまんまで、自分が対象として選択した地域とそれ以外の全ての国での数値ですよって事です。
単位について
KやMといった単位は、1K=千、10K=1万、100K=10万、1M=100万といった数値を表します。ちなみにBという単位は10億です。
①・・ユニーク ユーザー数(Cookie による推定値)
一般的に、アクセス解析ツールなどを導入している多くのwebサイトでは、ユーザーを特定する為にユーザー毎にCookieを発行しています。ものすごく単純に言うと、その発行したCookieの数がユーザー数となるわけです。で、この値はそのCookie数を、Ad Plannerのアルゴリズムにより検出した概数ですよって事です。そのアルゴリズムがわからないので、どう推定しているのかは謎。サイト全体のトラフィックの目安として使います。
②・・ユニークユーザー数(ユーザー数)
①がCookieからユーザー数を推定していたのに対し、この数値は実際にサイトにアクセスしているユーザー数の推定値です。
何が違うのかというと、実はCookieの数とユーザー数が1対1になるとは限らないわけです。いろいろ理由はあるんですが、Cookieはブラウザ毎に発行されるので、IEとFirefoxを併用している1人のユーザーが、サイトにそれぞれのブラウザでアクセスすると、Cookieは2つ発行され、当然①のカウントは2になります。でも実際のユーザーは1人なわけです。同じブラウザだけどCookieを消してサイトに再訪した場合なんかも本当は1人のユーザーだけど、①のCookieは2つになるよという事です。で、ここではCookieではなく、実際アクセスしたユーザーはこのくらいだよ!って数を表しているわけなんですが、その実際にアクセスした数ってのをどうやって推定しているのかは謎です。
③・・リーチ
指定した地域においてサイトでリーチできると推定されるユーザーの総数です。国内ネットユーザーの46.5%にリーチ出来るとはさすがWikipediaって事です。
④・・ページビュー数
PV数。サイト(ページ)が表示された回数。1人のユーザーが2ページ見ると2PVだし、1ページを50回くらいF5連打してリロードしたら50PVになります。
⑤・・合計セッション数
訪問数です。一般的に30分を区切りとして1セッションとカウントします。サイト内で複数のページを見たりしても、それらを一連の行動としてカウントし1回の「訪問(セッション)」とします。つまり、F5を50連打したら50PVですが、セッションは1ですよという事です。50連して30分放置してまた50連したら、PVは100、セッションは2になります。
⑥・・Cookie あたりの平均セッション数
Cookieは①からすると「ユーザー」と読み替える事ができるので、「ユーザーあたりの平均セッション」となります。セッションがサイトへの訪問数なので、1ユーザーあたり、月に何回位サイトに訪れるかって事になりますね。計算式は⑤÷①です。
⑦・・サイトの平均滞在時間
ユーザーがサイトにどのくらい滞在したかを表す数値です。
画像右のグラフ
1日のユニークユーザー数の推移です。
Wikipediaはユニークユーザー数は4千5百万人で、PV数は7億2千万、訪問数は2億1千万、国内の46.5%のネットユーザーにリーチできるということになりますね。どれをとっても桁違いな数字でございます。
なにこれすごい各種ユーザー属性
こんなデータをどうやって得ているんだという感じです。
これはWikipediaのものですが、このデータについては一目瞭然ですね。「親近性」というのは、インターネット全体のユーザー層を基準として、そのサイトを利用する可能性を示したものです。
例えばこのデータの世帯収入の場合、800万〜899万の世帯収入をもつユーザーは1.3×となっていますが、これは、「800万〜899万の世帯収入を持つユーザーがWikipediaを利用する可能性は、一般ネットユーザーに比べ1.3倍高い」となります。
Wikipediaユーザーは、男性が約70%を占めており、35~44才の年齢層が最も多く40%、大学卒の学歴を持つユーザーが44%で、世帯収入は300万〜499万のユーザーが約40%となっている。ということがわかります。まぁ、あってるんだかあってないのかはアンケートでも取らない限りわかりませんけども。
他の利用サイト/ユーザーの興味・関心
Wikipediaユーザーは他にどんなサイトを利用するか?また、どんなことに興味があるかを知る事ができます。
「親近性」は上記と同じです。例えばこの場合、「wikipediaユーザーは、yahoo知恵袋を利用する可能性が、一般ネットユーザーに比べ1.6倍高い」ということになります。調べ物をしているユーザーが多いのかな?と考えると、ストーリーとしては分かる話ですね。
興味/関心を見ても、リファレンスなどの親近性が高くなっており、上記ストーリーの裏付けになりそうです。
キーワード・上位のサブドメイン
時事ネタ満載のキーワードですが、これは、あるキーワードを検索するユーザーがこのサイトを利用する可能性は、一般ネット ユーザーの ○○倍ということを表しています。例えば、「スティーブ ジョブズと検索するユーザーがWikipediaを利用する可能性は一般ネットユーザーの1.8倍」ということになります。
上位のサブドメインというのは、検索したサイトのサブドメインで展開しているページの一覧です。例えばyahooとかだと、サブドメインで展開しているコンテンツが分かれてます。yahooニュースならheadlines.yahoo.co.jpだったり、ヤフオクならauctions.yahoo.co.jpだったりします。広告掲載を考えると、掲載する先がyahooであるよりも、場合によってはヤフオクに掲載した方が効率が良い場合があったりします。トラフィックやユーザー層などのデータをドメイン単位だけでなくサブドメイン単位で確認でき、大規模なサイトでもきめ細かいメディア プランニングが可能ですよということですね。
などなど、トラフィックデータだけでもいろいろな事がわかります。これ以外にも、例えばGoogle AdSenseなどでサイトやブログに広告枠を設けているサイトをAd Plannerで検索すると、どういった種類の広告が掲載可能かなども表示してくれます。
数字の信憑性はどうなんだってばよ
そもそもデータの取得元が完全にはわからないので、何を信頼すればいいのやらという事であるのは間違いないです。公式には、
- データの提供に同意したGoogleツールバーインストールユーザー
- 同意に基づきサイト運営者から収集された匿名のGoogleAnalyticsデータ
- 同意に基づき外部の消費者から収集されたパネルデータ(同一の対象を継続的に観察し
記録したデータ) - その他サードパーティのマーケット調査データ
などをGoogleのアルゴリズムによって分析を行ったものだそうですが、一体何をどうやって「世帯収入」などをはじき出しているのかは謎です。公式にはリサーチ会社がどうとか書いてありますが、よくわからないです。
などなど、Ad Plannerの数字の信憑性に関しては様々な議論が飛び交っておりますが、個人的には「近からずも遠からず」という感じかと思ってます。もちろんサイトによっては、全然実態と違うけどこれ何事?ということもあるでしょう。
先日も、Ad Plannerで検索すると2chユーザーは「高齢で低学歴」といった結果が出たと騒がれていましたが、専用ブラウザやブックマークからアクセスしたユーザーはノーカウントだからこれは実態を表してはいないと話題になったりしてました。
まとめ
いろいろと議論を巻き起こしているあたり、現段階では「参考にどうぞ」って感じじゃないでしょうかね。
ただ、マーケッターはもちろん、制作者視点でも、ユーザー層を知る事はサイトの最適化に繋がりますし、ライバルサイトを分析し差別化を図る事も可能になったりと、いろいろな可能性のあるツールだとは思います。
いずれにしても、「重要な意思決定にどこまで使える数字なのか」ということがこのツールの今後の命運を分ける事になると思うんですが、数字が正確になればなるほど、「何これ気持ち悪い」という声も大きくなるんだろうとも思います。そのあたりが難しそうですね。
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