自分探しとか、ノマドとか
blog.livedoor.jp | Nov 30th -0001まだ最近でも、「自分探し」的なコメントをネット上で見かけますし、若い方が「自分に合わない」とかですぐに仕事を辞めてしまう、という話も聞きます。
もう、若者に「自分探し」的な幻想を抱かせるのはやめませんか?
詳しくは、「若者はなぜ3年で会社を辞めるのか」という本にもありますが、「自分探し」の弊害として、若者が「仕事が自分に合わない」とかで会社をすぐ辞めてしまうことは、実は会社や社会側にも問題があります。就職時や学校では「自分が何がしたいか」を延々と考えさせるのに、会社に入ったら全く違う仕事を与えて「3年は頑張れ」と言われるわけで。そこにギャップがあることは想像に難くありません。
なので、そもそも「自分に合った仕事とか、天職とか、無いんだ」、または「好き嫌いに関わらず、目の前の仕事を一生懸命やるのが(金をもらっている)社会人」ということを社会常識にしないと、この入社前の期待値と入社後の現実のギャップが解決されません。ですので、まずは「社会に出ても、自分のしたい仕事(だけ)をして、生きていける」とか、「自分に合った(自分が優れていて楽しめる)仕事がある」というような、必ずしも社会人の大多数とはいえない「夢」は、会社説明会等ではキッパリ否定しましょう。
さて、ここからは、「自分探し」をしてる若い方に、少し年を食ったオジサンからの提言。
確かに、自分のしたいこと(だけ)をしていて、生計を立てている人もいるかもしれません。でもそれは、社会人の中のラッキーな少数派であると、断言できます。そもそも、今の仕事を楽しめるかどうかは、「気の持ちよう」です。子供の頃からやりたかった仕事ではなかったとしても、今の仕事を楽しめばいいんです。
仕事を変わること(転職)は大きなリスクです。今まで数ヶ月や数年かけて積み上げた経験値や人間関係をゼロに戻して、再スタートし、そこで成功することは、そんなに簡単ではありません。それなら、既に理解が進んでいる今の仕事で成功する方が確率として高いのは、自明でしょう。
仕事や上司や環境が合わないというのが転職の理由なら、真剣に考え直したほうがいいです。そもそも、次の職場で、仕事や上司や環境が合うという保障は全くありません(そもそも、今の仕事がよいと思って就いたはずです)。そういう「他責(自分でない他の何かを理由にすること)」を理由にすると、今後もその「逃げ」の姿勢が癖になります。
仕事や上司や環境がよければ仕事がうまくいくのは当たり前ですが、優秀かどうか(成功するかどうか)は、そうでない場合、苦手な仕事や上司や環境の中でも結果を出すことができるかどうか、なんです。そこで差が生まれるのに、あえて自分が「成功」と認められる可能性のある状況を変えてしまうのは、成功したいなら、あまりお勧めできることではありません。
実際、キャリア計画とかありそうな外資系でも、出世してる人たちにはキャリアビジョンなど関係なく、実は目の前の仕事を一生懸命やって実績を出してきた人たちです。詳しくは、「外資系のトップの仕事力」という本にありますが、苦手だろうが嫌だろうが、目の前の仕事を一生懸命やり、結果を出してきた人が、成功しているんです。若いうちから「自分探し」で転職を重ねて成功した人は、少なくとも私の周りにはいません。
ちなみに、面接とかで「会社に入って何したい?」とか「10年後にどんな仕事をしていたい?」とか聞くのは、話の一貫性を見ているに過ぎません。例えば「外資系でバリバリ働きたい」と言うのに、英語はぜんぜん勉強してません、というのは明らかに話と行動に一貫性が無いですよね?なので、「会社で何をしたい?」と聞かれても、誰でもすぐにしたい仕事ができると思わないように。どんな会社でも、目の前の仕事で結果を出せない人に、大切な(面白い?)仕事を与えたりはしません。
最近、ノマド(遊牧民)的な仕事がもてはやされてますが、まず本当のノマド(フリーランス)になるには、それなりに尖っていなければ(星の数ほどいるフリーターに対して、スキルでも人脈でも得意分野でも何でも、差別化された優位性が無ければ)無理です。そこを目指すのはいいですが、社会人になりたての若者が、いきなりそれを目指すのは現実的ではありません。まずはノマドの現実を理解して、自分に必要であろうスキルや人脈や経験を積むことです。
会社を辞めてフリーになることが、「ノマド(遊牧民)」的な仕事をする条件だと思われてますが、実はそうでもありません。私自身はれっきとした会社員ですが、別にどこかのオフィスにいなくてはならないわけではなく、パソコンと携帯電話だけあれば、大概の仕事はできてしまいます。実際、アジア各国を転々としながら仕事をしてますし、いちばんまとまった時間がとれるのは空港のラウンジだったり、どこかのカフェだったり、飛行機の中だったりします。会社員でも、そんなノマド的な働き方の仕事もあるんです。
というわけで、どんなに不満でも、いったん就いた仕事なら、そこである程度成功するなり、結果を出すまでは転職しないことをお勧めします。それが実は成功への近道、だと思います。
Original Page: http://blog.livedoor.jp/hikaru_adachi/archives/51255907.html
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