グーグルで最も出世した日本人が吠えた!国籍、人種は無関係。真に戦えるグローバル人材の必要条件はこれだ! (2012.04.30)
gendai.ismedia.jp | Nov 30th -0001
元グーグル日本法人社長で、橋下市長に関西電力の社外取締役に推されている村上憲郎氏と、「グローバル人材」というタイトルで"英語"で対談した。"世界で最も働きたい会社"と言われるグーグルで、日本人として最も出世した村上氏の話から非常に学べた。彼こそが現代で最もグローバル企業で成功した日本人の代表格だと思う。
村上さんの正確な経歴は、以下の通りだ。日立電子、DECを経て、Nortel Telecom Japan代表取締役。2001年、ドーセントの日本法人を立ち上げる。2003年4月1日より、Google副社長兼Google日本法人代表取締役に就任。2008年12月9日に退任し、2009年1月1日より同社名誉会長。現在は同社の経営からは退き、村上憲郎事務所代表をつとめる。
まずグローバルな人材市場で起こっていることを、村上さんは以下のように指摘した。
1・年齢、性別、人種、国籍等は一切問われない。これらの差別は禁止されている。日本のようなあからさまな年齢差別はないし、履歴書でも問うてはいけない。何歳か?とか何人か?ではなく、あなたは何ができるか?だけが問われる。
2・フェアな目的設定とフェアな評価。これがあって初めて採用する側もフェアに人材を登用できる。「よろしく頑張ってくれ」とか「徐々に慣れていってくれ」では世界でいい人材は寄ってこない。「いつまでに何をどうすべきか」そして「それをどう評価するか」これを公正な形で明示しておく必要がある。
3・グローバルな人材採用は日本国外だけで起こっているのではない。国内だけでも起こっている。
4・グローバル競争とは日本人は世界のあらゆる人材と競争せねばならないということ
まったくその通りである。あなたが何人で何歳であって、どんな政治信条や信仰を持とうが、採用側が設定した明白でフェアな目標に応えられる能力と実績があれば、採用される可能性がある。
しかし、採用されるためのバックグラウンドは厳しく問われる。それが以下の点だ。
世界はあきれるほどの学歴主義
1・学歴!世界は間違いなく学歴主義だ。学歴と言っても東大とか早稲田と言う話ではない。そういう名前はよほど日本通でないと知らないだろう。グルーバルな人材市場で学歴というのは世界的に通用するブランド大学のことである。ハーバード、エール、MIT,オックスフォード、スタンフォード、ケンブリッジ、カルテック、デュークぐらいであろう。
2・大学の成績。日本と違って世界は卒業証書をだけを見るのではない。大学時代の成績はとても重要である。GPAと言われる平均点で3・5以上ないと相手にされない。目を引こうと思ったら、マグナ・カム・ラウデとかサマ・カウ・ラウデといった最優等表彰を受けておくが必要だろう。
3・最低でも修士。しかも上記のブランド大学のプロフェッショナルスクール(ビジネススクール、ロースクール、エンジニアリングスクール、建築・デザインスクール等)でないと採用側に響かない
4・リーダーシップの証明。これはかなり具体的。企業でチームを率いて実績を出したこととか、起業した経験のことである。最近アメリカで人気なのは実戦経験ある軍人出身者。アフガニスタンやイラクで部下や仲間とともに作戦を実行し、銃弾をかいくぐってきた経験は高く評価される。
グローバル企業では年齢や性別や国籍による差別はないが、学歴による差別は明らかに存在する。それは「年齢や性別や国籍はどうしようもないものだが、学歴は個人の努力や工夫のたまものである」との考えがある。一時の日本企業の学歴否定主義などは世界では冷ややかに見られていた。しかも学歴は入学だけでは成立しない。卒業まで頑張っていい成績を取っておかないと世界で評価される学歴にはならないのだ!
登っている転職か?下り坂の転職か?
次に職歴について
1・説得力ある実績。転職ばかり繰り返している印象はダメで、実績を残しながら企業や企業間の階段を上ってきた印象ある実績が有効
2・大きな挑戦を果敢にやっての失敗は高く評価される
世界では転職は一般的だが、転職歴の評価は厳しい。落ち目になっているような転職歴は採用側に即座に見抜かれる。どういう転職をしているかで、"組織不適合な人格"もレジュメからばれてしまう。会社や職が変わっていても、それがグングン階段を上がっているかのような印象を与える場合のみ最大限の評価を受ける。
具体的には企業内で、肩書もよくなり、部下も増え、使える予算も増えている。企業を変わってもそうなっている。こんな実績は高く評価される。
日本では何であれ失敗は悪い評価の対象だが、世界では違う。もちろんその内容は大事。説得力ある目標実現のために、計算されたリスクを取りながら、精一杯努力しての失敗は高評価を受ける場合がある。
また気軽にノマドとかいう人もいるが、実は世界で戦って勝ち抜くためには上記のような武器や肩書や実績が不可欠なのだ。そして上記の武器や肩書を持った人材がすでに世界中にけっこういて、毎年新たにゴロゴロ生まれている。
ほかにも対談の中で出た有意義な話としては、知識(歴史・哲学・数学・宗教・科学)の詰め込みが大事、世界のエリートがどう育っているか、がある。
この連載でこれらについては折に触れ指摘してきたがとても大事なので、あらためて書いておく。
詰め込まないと創造力も個性も生まれない!
今の日本の大学生の多くは日本の教育制度の犠牲者である。人口減少で大学は全入時代を迎え、"極度の詰め込みによる受験戦争を勝ち抜くと言う"経験をしたものが昔に比べて極端に少なくなっている。知識が詰め込まれていないところに創造力も個性もない。芸術や音楽やスポーツだって知識の詰め込みが脳や肉体にないといいパフォーマンスはできないし、いいものかどうかの評価さえできない。
一般的に欧米のエリートは日本に比べて中高時代に勉強していない印象があるが、それは大きな間違いだ。真のエリートは中高時代から日本人がびっくりするような教育を受けている。ボーディングスクールだ。
片田舎の巨大なキャンパスで、世界から集まった同世代と全寮制の生活をしながら、哲学、歴史、数学、宗教、科学などを徹底的に叩き込まれている。しかも先生も寮に住み込んでいるのも勉強は教えてもらえる。やっているのは勉強に加え、スポーツ、チャリティー、音楽芸術である。これらの活動を忙しく行いながら、時間管理術を身に着け、自分のスタイルや長所を見つけていくのだ。強烈なつめこみの中で真の個性や創造力やリーダーシップが獲得される。
グローバル企業や世界各国の政府の幹部はこういう教育を身に着けた連中ばかりである。一方われわれは中高で、彼らのように歴史や哲学を学んでいるだろうか?多くはノーである。
組織内でのリーダーシップの技術として、深い話をできる能力は大きい。多様な人種や信仰に囲まれながらも、歴史や哲学の知識を正確に幅広く披露できれば、同僚や部下を「この人物は知識の蓄積がある深い人間でリーダーとして正しい判断ができる」と印象付けられる。
スポーツや芸術の経験も大きい。ゴルフやテニスやスカッシュや乗馬のように長い間社交の場で使える技術はビジネスでも生きてくる。パーティーで即興で社交ダンスやピアノやバイオリンを披露したら受ける。

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Original Page: http://gendai.ismedia.jp/articles/-/32459
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