2012年5月13日日曜日

パワーポイントで作る企画書のデザインを美しくみせるための7つのポイント

パワーポイントで作る企画書のデザインを美しくみせるための7つのポイント

d.hatena.ne.jp | Nov 30th -0001

はじめに

パワーポイントというのは、今や企画書作成用ツールとしてビジネスになくてはならない存在になった感があります。ぼく自身も、本業は企画者なので、これまで数え切れないくらいの企画書をパワーポイントで書いてきました。

そんな中で、最も気をつけ、また力を入れてきたのが「デザイン」でした。内容もさることながら、見た目の美しさや、読んでみたくなるような構成・演出、読みやすさなどに、何よりこだわってきました。

なぜかといえば、企画書というのは、多くの場合、まず手に取ってもらうまでに大きなハードルがあるからです。その次に、実際に見て読んでもらうまでにまた大きなハードルがあります。


企画書というのは、書いたら必ず読まれるというものではありません。むしろ多くの企画書は、ほとんど読まれない運命にあります。なぜかといえば、企画書というのはたいていいくつも提出されるからです。一つの案件に対し、10個も20個も提出される。しかもそれは、大きな案件になればなるほど増えていきます。大きな予算の仕事ほど、多くのライバルがそこに集うのです。

そうしてたくさんの企画書が提出される中で、クライアントというのは、それらの全てに目を通すわけではありません。なぜかといえば、彼らはとても忙しいからです。しかもそれは、大きな案件に関わる人ほど、またその中で大きな決定権を持つ人ほど、そういう傾向にあります。なぜなら、大きな案件に関わる人ほど、また大きな決定権を持つ人ほど、多くの仕事に追われているからです。そのため、数え切れないほど提出されるそれらの企画書を、いちいち精読している暇がないのです。

つまり企画書というのは、皮肉なことに、一番読んでもらいたい人ほど、一番読んでもらえない傾向にあるのです。彼らはたいてい、いくつもある企画書の表紙をざっと眺めるだけで、ほとんど手に取りません。あるいは、興味を引かれて手に取ったとしても、中をパラパラとめくるだけで、じっくり読み込むなどということは、やっぱり滅多にありません。


ぼくはこれまで、そういう場面に何度も遭遇してきました。そういう光景を何度も目にしてきました。自分の書いた企画書が、読んでもらえないのはもちろんのこと、手に取ってさえもらえないという屈辱や敗北感を、何度となく味わってきたのです。

そうした中で、いつしか企画書にとって最も大切なのは、まずは「手に取ってもらうこと」ではないかと考えるようになりました。その次に、パラパラとめくってもらうだけではなく、「じっくり読み込んでもらうこと」だと考えるようになったのです。内容は、それらのプロセスがあって初めて取りざたされるのです。いくら素晴らしい内容の企画書でも、手に取ってもらえなければ話になりません。

そして、それらを果たすうえで(手に取ってもらったり読んでもらったりするうえで)最も重要なのが、企画書の美しさ――つまりデザインだと考えるようになりました。なぜなら、いくつもの企画書が並んでいる場合、まず手に取ってみようと思うのは、デザインの美しい企画書だからです。また手に取った後も、パラパラとめくるだけではなく、じっくり読み込んでみようと思わされるのは、やっぱりデザインの美しい企画書です。読みやすさや、読んでみたいと思わされる構成や演出が、読んでもらえるかどうかを決定づけるのです。


それに気づいたぼくは、以来、企画書を作成する際には、デザインの美しさというものに何よりこだわるようになりました。そして、まずは手に取ってみたくなるようなデザイン、次に読んでみたくなるような構成や演出にすることを心がけるようになったのです。

そうすることで、これまで見向きもされなかった企画書は、手に取ってもらえるようになりました。またパラパラと読み流されていた企画書は、じっくりと読み込んでもらえるようになったのです。

そのことによって、実際に採用される企画書というのも、また増えていきました。もちろん、採用されるかどうかの最後の決め手は内容の良し悪しにありますが、それ以前に、見てもらえなかったり読んでもらえなかったりすることでチャンスを逃す、といった事態はほとんどなくなったのです。


そこでここでは、そんなぼくがこれまで培ってきた、企画書のデザインを美しくするための7つのテクニックをご紹介します。これらは、手に取ってもらったりじっくり読み込んでもらうために効果的であるのみならず、美術やデザインを勉強した人でなくても簡単に使えるよう、汎用性を持った、手間の少ないものにもなるよう心がけています。

ですので、なるべく多くの方々に読んで頂いて、活用して頂けたら嬉しく思います。

その1「テーマカラーを決める」

企画書というのは、全体を通して一本筋が通っていたり、統一感があると美しく感じられるのですが、それを演出するうえで最も効果的かつ簡単な方法は、「テーマカラー」を決めることです。例えば表紙のロゴや全てのページに引かれるラインの色を統一するだけでも、与える印象は大きく違ってきます。

「色」というのは、デザインにおいてとても重要な役割を果たします。ある色をほんのわずかに配しただけでも、そこに大きな意味合いが生まれてきます。例えば、赤を初めとする暖色系のものは暖かみを感じさせますし、青をはじめとする寒色系はクールな印象を与えます。黄色はパッと明るいイメージですし、緑は落ち着きを演出することができます。あるいは、純色にするか中間色にするかでも印象が変わってきます。パキッとした強さを演出したい時には純色で、柔らかさや奥深さを演出したい場合には中間色を使うようにすると効果的です。

そういう大きな力を持った「色」というものを全体に配置していくことで、企画書にはいとも簡単に統一感を持たせることができるのです。

その2「四隅を押さえる」

これはデザインの基本なのですが、紙の四隅にオブジェクトを配置すると、まとまりがあって落ち着いた印象を与えることができます。あえてまとまりをなくしたり、落ち着きをなくすために配置しない……という場合もあるのですが、たいていの企画書は、まとまりのある落ち着いた雰囲気を演出したいだろうと思うので、このテクニックを覚えておいて損はないでしょう。

ぼくが企画書を書く時は、左上は「見出し」、右上は「タイトルロゴ」、左下は「提出者の名前やロゴ」、右下は「ページ番号」で、効率的に四隅を押さえるようにしています。

その3「文字のジャンプ率を心持ち高めに(見出しは大きく本文は小さく)する」

企画書というのは、書かれている内容以上に「文字の大きさ」に大きなメッセージが込められています。特に、企画書をあまり読んでくれなさそうな人に提出する場合などは、それが大きな意味を持ってきます。

大別すると、大きな文字は「必ず読んでほしい情報」、小さな文字は「必ずしも読んでもらわなくてもいい情報」というメッセージとして受け取られるのです。この文字の大きさの変化する度合い(「ジャンプ率」といいます)を高くすることで、「ここは必ず読んでほしい」という気持ちをさらに明確に伝えることができるようになります。

そうすることによって、読む人にとっては、「ここだけ読めばいいのか」という気楽さから読むことへの障壁がぐっと低くなりますし、提出する方としても、伝えたい情報を読み飛ばされてしまう危険性が少なくなるという利点があります。

その4「用紙に透かし文字を入れたように見せる」

これは簡単にできてしかもちょっとお洒落なやり方です。

まず、表紙に使った文字を、大きさを変えて各ページに貼り付けます。この時、文字色を一番薄いグレーにしておきます。

そうすると、印刷した時に透かしが入ったようにきれいですし、その上に文字を置いても、デザインとしてお洒落なうえに、読みやすさが損なわれることもないのです。

その5「ガイドを使って配置を規則正しくする」

デザインがあまり美しくない企画書に共通する特徴は、文字や画像の「配置」に気を配れてないことです。ですので、まずはこれを心がけるだけでも印象はガラッと変わります。

デザインを勉強された方なら、培ってきた感性に基づいて自由に配置して頂ければいいのですが、そうでない場合は、まずは規則正しく並べるところから始めるのがいいでしょう。

やり方としては、まず「ガイド」を表示し、さらにそれを格子状に規則正しく並べます。ガイドは、Ctrlキーを押しながらガイドをドラッグ&ドロップすると、数を増やすことができます。ぼくの場合は、後で分割しやすいように、4.80、9.60といったポイントに配置するようにしています。

こうして基準となるグリッドを作っておけば、あとは文字や画像をそれに合わせて置いていくだけ美しく見えるようになります。文字や画像は、ガイドの近くまで持っていけば自動的に端やセンターに貼りつくようになっているので(これを「スナップ」といいます)活用するようにしましょう。

ガイドを使うくせをつけておけば、デザインは飛躍的に美しくなるでしょう。

その6「ページ番号の字体を変える」

パワーポイントの場合、ページ番号の書体は「Times New Roman」がデフォルトなのですが、これをちょっと変えるだけで、企画書のデザインはガラッと変わった雰囲気になります。ですので、これを積極的に活用するようにしましょう。

特に、珍しい欧文フォントに変えることをおすすめします。欧文フォントというのは、無料のものがネット上でいくつも配布されているので、簡単に取り入れられます。また、インストールしてもPCが重くなることは少ないないので、積極的に活用していくことをお勧めします。

字体の変え方は、「表示」タブから「スライドマスタ」を開いて頂き、右下にある「<#>」のボックスを右クリックして字体一覧の中から好みの字体を選択するようにします。

(ちなみにこれは「Java」という名前のフォントです)


その7「読ませたい文言をキャプション化する」

何かの記事で読んだのですが、新聞や雑誌を読む時の人間の目の動きを観察したところ、最も高い確率で読まれたのが「キャプション」らしいです。キャプションというのは、写真の隣についている説明文のことで、上下左右どこにつけても良いのですが、一番読まれやすいのは下につけたものだそうです。

ですので、どうしても読んでほしい文章がある場合には、あえて「キャプション化する」というのが良いのではないでしょうか。写真を1枚用意し、その下に書き込むのです。これだけで、読んでもらう率はぐっと上がります。

まとめ

これらのテクニックを使うようになって、ぼくが初めて気づかされたことは、実は企画書にとって最も大切なのは、内容以前に「おもてなしの心」なのではないか、ということでした。

「おもてなしの心」とは、相手に本当に喜んでもらいたい、楽しんでもらいたい、面白いと思ってもらいたいという気持ちです。そしてデザインを美しくするというのは、相手に喜んでもらおうとする、楽しんでもらおうとする、面白いと思ってもらおうとする、おもてなしの心に他ならなかったのです。

実際、デザインの美しさというのは、その気持ちがあるかないかで大きく変わってきます。読みやすいものにしたい、読んで楽しんでもらいたい、面白いと感じてもらいたいという気持ちのあるなしが、デザインを美しくするかしないかを決定づけるのです。

ですから、上に紹介した7つのテクニックは、企画書を読む人の気持ちを考え、おもてなしの心で、喜んでもらいたい、楽しんでもらいたい、面白がってもらいたいと思いながら使って頂ければ、さらに美しいデザインの企画書を作成できるようになると思います。


参考文献

ぼくがデザインをする時に参考にしている本です。


デザインに限らず、アイデアに行き詰まった時に開く本です。これを読むと脳がリフレッシュして、思わぬアイデアが閃きます。


今回作成した企画書

表紙
1ページ

2ページ

3ページ

4ページ

5ページ

6ページ

Original Page: http://d.hatena.ne.jp/aureliano/20090626/1245981276

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