2012年4月17日火曜日

[報連相編]「報連相せよ」と一度言って終わりにしてはいけない

[報連相編]「報連相せよ」と一度言って終わりにしてはいけない

itpro.nikkeibp.co.jp | Nov 30th -0001

報連相を現場に浸透させる3ステップ

 Yさんのケースが起こったのは、メンバーが報告したくなかったからではない。「今起こっていることは伝えるべきものなのか」を、メンバーがよく分からないために起こったのである。このときメンバーは「ユーザー企業側の仕様検討体制が不十分なのは、相手のせいであって自分たちには関係ない」と思うにとどまった。そのためメンバーは黙々と打ち合わせに参加して仕様を策定していったのだ。

 ではどのようにすれば、報連相が現場で機能するのだろうか。それは以下に紹介する、3段階のアプローチをPMが踏むとよい。PMはこの三つのステップを通して、メンバーに報連相のやり方を教え、現場に浸透させる努力をすることが大切だ()。

ステップ1 共有
 まずプロジェクトの最初に、報連相がなぜ重要なのかをメンバーに理解してもらう必要がある。

 報連相の重要性は、「PMは役割上、起こるべきリスクを事前に察知して回避しなければならない。リスクの回避策はこれまでの現場経験を踏まえてPM自身が講じられるものの、回避すべきリスクを察知するには、現場の状況を把握することが欠かせない。それにはメンバーみんなからの報連相が欠かせない」といったことを説明する。

 メンバーがそれを理解していれば、「ユーザー企業側の体制が不十分であることが、今後どう影響するかは分からない。しかし、このことはすぐにPMに伝えておこう」と思い、報連相をしてくれるはずだ。

 またPMは、「こまごまとした情報をすべて伝えるのか」「ある基準以上の問題を伝えるのか」といった報連相すべき内容について、メンバーと共有しておくとよい。メンバーも報連相すべきかどうかを判断しやすくなる。

ステップ2 反復
 プロジェクトの最初に、重要性を共有したからといって、メンバーが必ず報連相してくれるとは限らない。プロジェクトが始まってからも、PMが折に触れて繰り返し確認することで、メンバーの認識が深まり報連相は浸透する。そのため、ステップ1で共有した内容をチーム内のミーティングで何度も確認し、メンバー全員の認識をより強いものにしていくことが大切である。

ステップ3 指導
 チームのメンバーが報連相をするようになるには、実際の作業の中でタイムリーに指摘して教えていく必要がある。特にPMが「報連相が少ない」と感じたときには、自分からメンバーに聞き出していくことが大切だ。「こういうことは報告してもらう約束だったよね」と注意したり、ランチを一緒に食べに行ってそれとなく相談事がないかどうかを確認したりすることが有効だ。

 メンバーに依頼したことがうまくいっていない場合、そもそもメンバーにやり方をきちんと教えていないことが多い。報連相も一緒であることを、PMは忘れてはいけないのである。

梅田 弘之(うめだ ひろゆき)
システムインテグレータ 代表取締役社長 東芝、住商情報システムを経て、1995年にシステムインテグレータを創業。前職でProActive、現職でGRANDITという二つのERPパッケージの開発に関わるほか、ECサイト構築ソフトSI Web Shopping、開発支援ツールSI Object Browserシリーズなどのパッケージ開発を手掛けている。最近は統合型プロジェクト管理システムOBPMをリリースし、IT業界の合理化をライフテーマとして活動している。

Original Page: http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20120409/390247/?ST=sp&P=2

Shared from Read It Later



Sent from my iPad