2012年4月5日木曜日

2008年 - 新しいセールスチームを創ろう!

2008年 - 新しいセールスチームを創ろう!

by Shumpei Kuroda, shumpeikuroda.blogspot.com
November 30th -0001

4月より、新たな部署へ異動し、小さいながらもひとつのチームのマネジメントを任されることになった。新チームは、同じくAdWordsの営業組織ではあるものの、"広告代理店を使わずに、自社でAdWordsを利用している広告主" を対象顧客とする、新たな営業組織であった。
お客様を類型化すると、世間で言うところの"ネットベンチャー" や"中小企業"であり、それまで広告代理店と一部の大企業のみを対象として、こちらから働きかける営業活動をしていたGoogleにとっては、ほとんど手をつけられていないお客様たちであった。


これまで何度か書いてきたように、 "広告代理店に対する営業活動を中心に行う" という営業戦略でずっと活動してきたGoogle Japanからすると、そちらの活動が当時のメインストリームであり、私が移ったこの新チームは辺境といった位置づけだったのだが、前述したように、かねてより広告主へ直接顔の見える営業活動を行うことの重要性を訴え続けていた自分にとっては、まさに渡りに船と言えるような新たな仕事である。
そしてそのことを、個人プレイヤーとして取り組むのではなく、組織としてチームメンバーと共に同じ目標を掲げ、達成に向けて力をあわせて仕事ができる、ということが何よりも嬉しかった。


私をこの新チームに招いてくれたのが、のちに上司となったアメリカ人の女性である。
彼女は元々、アメリカ本社のAdWordsセールスチームで働いていた経験があり、日本のセールス基盤を強化する、新しい営業チームを創りあげる、というミッションを持ち、その遂行まで数か月の期間限定で日本に来ていた。
彼女が日本に来て間もない頃、彼女に日本のマーケットに関する情報提供をして欲しいと、当時の上司に依頼され、カジュアルなミーティングを持つことになった。
私は事前に、日本のインターネットビジネス、広告市場に関する基本的なデータ、Googleの利用者数(サードパーティーのもの)、売上推移、顧客数、利用金額別顧客数等の、ごく基本的なデータを簡単にまとめ、それらをミーティング時に紹介したところ、彼女は熱心に質問を投げかけてきて、メモをずっととっていた。
これは、後になって彼女から言われたことだが、
"私が日本に来た直後に、私が知りたいと思っていることを数字と共に教えてくれたのは、あなただけだった。だから、私と一緒に新しいチームを創ることを手伝ってほしいと思っていた" 
もちろん、リップサービスも含まれており、自分としてはごく当たり前のことをやっただけではあるが、そうしたひとつの機会で自分の働くポジションが変わるきっかけになる、ということもあるのだ。


自分よりも5つ以上も年下の彼女であったが、頭脳明晰で、とにかく良く働く人であった。
そして、"日本の顧客やビジネス状況を良く理解しているのは、私ではなくてあなたです" という言葉と共に、私の話しを何よりも良く聞いてくれたことで、ともに日本のセールス基盤を強化する、という目標に向かって充実した仕事をすることができた。
アメリカ流でやるところ、日本流でやるところ、その兼ね合いを議論して探りながら、最適と思われることを彼女と、同僚マネージャーと私とで決めていった毎日であり、非常に充実していた日々であった。


そして、約八か月の日本でのミッションを終え、彼女はアメリカ本社での新たな仕事と共に帰国した。
その時、我々新チームのマネージャー陣、メンバー一同の目標達成意欲、結束は非常に固かった。


"ネットベンチャー、中小企業"のお客様をもっと増やそう! "
"Googleが日本で一番になることを目指して頑張ろう"!
といったことを、自分がチームの前で言うことに何の躊躇もないほど若い活力に満ちており、これは今までのGoogle Japanのセールスチームとは確実に違ったムードであった。


一同での旅行、パーティーなんかは、いつも大変賑やか大盛り上がりで、まさに、
"良く働き、良く遊ぶ" といったGoogleらしさを体現していた。
たくさんの貴重な思い出がある日々である。



Original Page: http://shumpeikuroda.blogspot.com/2012/03/2008_18.html

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