2012年4月3日火曜日

「超選択と超集中」 – 株式会社 EC studio はChatWork株式会社へ社名を変更します!

「超選択と超集中」 – 株式会社 EC studio はChatWork株式会社へ社名を変更します!

blog.ecstudio.jp | Nov 30th -0001

2000年7月15日にEC studio を創業し、約12年使用してきたEC studio という社名を

ChatWork株式会社に変更します!

この記事では過去2年間のEC studioの苦悩や社名変更にいたった経緯について、

そして今後のシリコンバレーでの展開を含めて、全てを詳細に書きたいと思います。

EC studio には「IT経営で日本を、そして世界を変える!」という経営ビジョンが

あります。大企業に比べて中小企業は「人・物・金・情報」という経営資源は

乏しいですがITを活用することで、中小企業も大企業に負けない競争力を

持つことができると確信しこれまで世界中のありとあらゆるITサービスを

リサーチし、自社で実践し、うまくいったITサービスと活用ノウハウ(IT実践会)

を提供してきました。

日本の中小企業にIT活用を普及していくためにありとあらゆることに

チャレンジしてきました。いくらEC studioのIT活用が効果的だったとしても、

「そもそもEC studioって?」「IT企業なんだからEC studioにはできても

うちにはITは無理」と思われてしまえば、結局浸透しない。

どうやったらEC studioのIT活用を自社でもやってみたいと思ってもらえるか

考えに考えた結果、もともと全く興味のなかった会社のブランディングに

取り組むことにしました。

これはEC studio にとって大きな方針転換であり決断でした。

EC studio は大阪の吹田市という周りに何もないような住宅街にある30名の

小さなIT企業。IT企業なのに株式公開を目指さない、顧客に会わない、

電話を受けない、ネット以外のことはやらないという変わった会社。

そんな会社に入りたいと思ってくれてるスタッフは、知名度があるからとか

儲かってるからとか、そういう物に一切振り回されず、EC studio のやってること

目指してることがおもしろいからと、通勤に2時間かかるような地域からでも

通ってくれるようなスタッフ達です。

会社のブランディングするということは、私をはじめスタッフの誰も望んでいない。

それはわかっていました。

わかっていたけれど、日本経済は中小企業が支えていて、その中小企業が

元気がないということは、日本がダメになる。

その現状をEC studio が何とかしないといけないんだ!と心の中で強く決意し

ブランディングのためには手段を選ばずいろんなことに取り組もうと決めました。

EC studio はインターネット上での露出は得意ですが、インターネットでの

露出だけでは弱すぎる。全てのメディアで露出しなければと。

テレビ、新聞、ラジオ、雑誌、書籍の全てに出るべくブランディングを開始。

ちょうどその時EC studioのTwitterの全社導入が話題になっていて

「iPhoneとツイッターで会社は儲かる」というタイトルの出版オファーが来ました。

これまでなら「儲かる」というようなワードが入っているようなオファーは

問答無用で却下してましたが、ブランディングのためブランディングのためとグッと

こらえて受けました。結果、初版3万3千部で韓国語版同時発売のベストセラーに。

そこで出版業界にEC studioは一気に知れ渡るようになりました。

ただ、EC studioはiPhone屋でもTwitter屋でもないので、いくらこの本が売れても

全く意味がない。

本当に伝えないといけないのは中小企業のIT活用の重要性。

しかし、中小企業は「IT」というワードに拒絶反応を示す会社が多く

中小企業にIT活用が広まらない。どうしたらいいか。。。

そんな時、毎年受けているリンクアンドモチベーション社の社員の組織診断で

「EC studio さんは2年連続日本で一番社員満足が高いという結果で

これは本当にすごいことですよ」と言われていたことを、ふと思い出しました。

ブランディングを始める前は、組織診断の結果から潜在的な問題を改善するためだけに

受けてるので、社員満足が日本一位とか順位なんてどうでもいいと思ってました。

しかし、もしかしたらこのネタはブランディングに使えるかもしれないという

ことになり出版社にかけあいました。出版する時に重要なのが出版社の

プロモーション力とそしてさらに重要なのが編集者。

売れるも売れないも編集者で決まる。1冊目のベストセラー効果もあり、

出版社は選び放題でエース編集者を出してくれるところで2冊目に着手。

「日本でいちばん社員満足度が高い会社の非常識な働き方」

タイトルは編集者の提案でIT活用は中小企業に響かないのでこうなりました。

このタイトルも心の中で引っかかっていました。

そもそもEC studioの働き方は非常識ではなく常識であり、今の日本の

中小企業の働き方が非常識だということ、社員満足が高いと公言するのは

「私の子供は日本一かわいい」と言って回ってる親バカと同じ。。。

いや、でも、ブランディングのためならやむなし・・・

ただ、2冊目はタイトルは気に入ってないけれど、当時のEC studio の全てを

詰め込むことができた一冊なので、内容は気に入っています。

2冊目もベストセラーになり、それを皮切りにワールドビジネスサテライト、

NHK Bizスポ、CNNをはじめ、ラジオ、新聞、雑誌も次々に取材され

ブランディングは大成功。

しかし、一方で社内では深刻な問題が起きていました。

メディアに取材され知名度が上がり、取材攻勢、来訪者も次々にやってくる。

スタッフから見れば当たり前なのですが、IT活用を普及させることがミッションなのに

自分たちが見せ物のような状態になっていて不満がどんどん溜まっていく。

不満は溜まっていくが社員満足が高いと期待して来てるインタビュアーや

来訪されてる方を裏切るような回答はできない。

私もブランディングのために致し方なしと頭では思っていても、外の期待と中の現実が

どんどん乖離していく、、、売上は下がり、スタッフは離れていく最悪の状態。

そして肝心の中小企業のIT活用についてはどうなったかというと、

全国の元気な中小企業はEC studioのありとあらゆるIT活用を習得して

ますます元気になっていくが、残りの99%の中小企業には届いていない二極化状態。

残り99%の中小企業の普及活動に力を入れると上の1%は物足りなくなる

というチグハグな状況が続く。。。

何のためにスタッフにつらい思いをさせてまでブランディングをやってきたのか

わからなくなり、EC studioの経営者を辞めたいと思うことさえありました。

そんな状況の中でも何とか打破するべくいろいろアクションを起こしました。

■2社のグループ会社を設立

EC studio アカデミー(本日より「ChatWorkアカデミー」へ)

EC studio はインターネットを活用できないことはしないというポリシーがあるため

ネットだけで中小企業のIT活用を支援してきました。しかし、前述のように

ネット上だけのIT活用の普及には限界があるということがわかり

なんとかこの状況を打破するために、創業メンバーの一人である加藤利彦が

リアルなコンサルをするグループ会社の社長に手を挙げてくれました。

これまで興味を持ってくれてはいたものの、来訪して欲しい、電話対応して欲しい

というお客様に対して全てお断りしていました。ネットでできる方はEC studioで、

できない方はEC studioアカデミーが対応するという2段構えで

EC studio アカデミーは設立早々からたくさんのお客様にコンサルを行なっています。

EC studio スペース(オオサカンスペース)

EC studio アカデミーでリアルコンサルを始めて気づいたことの一つに

設立して10年、20年以上経過している中小企業は組織が

出来上がっていて、IT導入への腰が重いということでした。

継続的にアプローチして変化してもらえる中小企業もあれば

後継者の代まで待たないと不可能と思われる企業もある。

人間も同じで大人になってから変化するのは難しいが

子供の頃から当たり前のような環境で育てば

IT活用にも何の抵抗もなく取り組むことができる。

起業したての会社の段階からEC studio のIT活用が当たり前のように

導入されていることで、会社の成長速度が早くなり、組織が大きくなっても

IT活用がベースにあるので新しいことにも抵抗がない。そんな環境の会社を

作り出そうと起業家向けのコワーキングスペース(協働スペース)をオープン。

オープンして2カ月で40社の入居者が入り、西日本最大規模に。

■超選択と超集中でChatWork一本へ

EC studio アカデミーとEC studio スペースで中小企業のIT活用へ

光が見えたと思いましたが、リアルのビジネスはキャパに限りがあり

スケーラビリティのあるネット上とは違って、人的リソース、場所、時間に

縛りがあるため、ネット上のようなスピード感では拡大できません。

閉塞感漂うこの日本経済をいち早く何とかしなければ日本は沈んでしまう・・・

そんな中、EC studio に光が差してきたのが「ChatWork」です。

今までSkypeチャットを使って社内外のコミュニケーションを取ることを

推してきましたが、いかんせん問題が多い。お互いがオンラインじゃないと

メッセージが届かない、ログが消えてしまう、セキュリティが低いなどなど、、、

最も業務効率を上げるツールであるにも関わらず、問題があり普及が進まない。

EC studio のポリシーの一つに「世界中探してもいいものがなければ自社で作る」

というものがあり、2010年からChatWorkの開発に着手していました。

Skypeをはじめ、GoogleやFacebookのような企業を相手にするような

プロダクトなので、無謀なチャレンジではあるのですが、

うまくいかなかった時は最悪自分たちが使うだけでもいいやという気持ちで

リリースしたところ、予想以上に良い反応で1年で6万ユーザーを突破しました。

ChatWorkにはEC studio のIT活用のノウハウが集約されていること、

初期投資に予算がない中小企業でも無料から始めれること、

全国の中小企業に浸透させるスケーラビリティを有していることなど

これまで問題と感じていた部分が一気にクリアできる可能性が見えてきました。

EC studio では常々変化に強い組織、思い立ったらすぐ行動を心がけていますので

その可能性が見えたならそこにチャレンジしようと決め、幹部会議で議論。

数時間の議論を経て、ChatWork一本に絞り、既存の事業は統廃合することに

なりました。一つ一つ売却交渉をしていては時間がかかってしまうので

売上ごとグループ会社や取引先に無償譲渡することにしました。

幹部会議でまさかここまで心を決めて変化するとは予想してませんでしたが

中途半端にしたら結果も中途半端になるからとことんやろう!という結論に。

それが決まった後に、ふと「会社名はEC studio である必要ってあるんですかね?」と

常務の山口が言いました。私と弟の専務は「うーん、ないですねぇ。

変えちゃいますか」と返答。そのあっさりさに言った山口本人が

「え!でも12年も使ってるし、思い入れとかあるのかなと思ってましたが、

大丈夫なんですか?」と逆に心配になったらしい。

「思い入れとか過去にすがって中途半端で失敗するより、

未来志向で考えたら、ChatWork株式会社がいいんじゃないですかね。

そもそもEC studio はECやってないとか言われるし、ECナビやEC CUBEと

間違われることもあるし、やってることと社名が同じになったらわかりやすいし。」

と5分で決まっちゃいました。笑

ただ、そこから「EC studioじゃなくなったら1と4のこだわりが使えなくなる?!」

という議論が出始めて「それはまずい、そこはこだわってきたし

これからもこだわりたい。」3人の役員でそこに一番頭を悩ませることになりました。

「あっ!EC studio の親会社のEC studio ホールディングスの名前はそのままに

しておけばEC studio グループということで1と4にこだわるというのが使える!」と

ひらめいて、じゃぁそれで大丈夫だと、胸をなでおろして社名変更が確定。

社名変更案は5分で決まり、1と4を解決するのに25分かかり、計30分でGO。

■中小企業のグローバル化の道筋を作る

ChatWorkで日本の中小企業のIT活用に光が見えてきましたが

そもそも今の日本市場が縮小していく中では日本経済の未来は暗い。

経済ニュースではしきりにグローバル化が連呼されているが

IT活用でさえ変化が難しいのに、英語が苦手な日本人企業で

いきなり海外マーケットを攻めるなんてハードルが高すぎる。

EC studio は常々、日本の中小企業の問題は自社の問題であると

考えて、自社だけが解決するのではなく、日本の中小企業全体が

解決できるアイデアや手法を自ら実践して確立したノウハウを全公開しています。

例えばテレビ会議システムも大企業は1拠点100万円くらいするシステムを

導入していますが、EC studio がそれを導入してしまっては他の中小企業が

導入できる解決策にはならないから、それは絶対に導入しない。

そこでスタッフから上がってきたアイデアがPS3を使ったテレビ会議システムです。

今日本の中小企業が求められているグローバル化についても

自社の問題であると捉え、ChatWorkというプロダクトで海外展開し

うまくいったノウハウを公開したいと考えています。

そうと決まれば行動は早いのがEC studio 改め ChatWork株式会社。

シリコンバレーに会社を作って、代表の私が移住して現地に切り込んでいく。

そしてChatWorkを全世界的に普及させて、日本企業のグローバル化の

道筋を作りたいと考えています。

具体的なスケジュール

3月1日 Palo Altoにオフィス開設済

3月21日 ChatWork Inc. 設立申請済

4月1日 現地で展開するCOOを採用済

4月上旬~中旬 設立完了(TAX ID発行)されたらビザ申請

7月 Mountain Viewへ移住

この社運を賭けた一大チャレンジがうまくいくかどうかは神のみぞ知る所ですが

中小ITベンチャーが一社も世界で成功していないこの現状のままではダメなので

ChatWorkを必ずや成功させたいと思っています。

Google、Apple、Facebookなど、普及するITサービスがアメリカ製ばかりの中

和製プロダクトのChatWorkを世界で普及させるべく社運を賭けて

チャレンジしたいと思っています!

ということで長々と書きましたが、12年間EC studio という社名に

慣れ親しんでいただいていた皆さんには突然の報告となり、

誠に申し訳ございません。

また、9期の期首ということで本日発表いたしましたが、社名変更が3月中旬に

決まったこともあり、登記変更や事業の統廃合についても具体的なスケジュールは

決まっておりませんが、第1四半期中には全ての作業を終えたいと思っています。

最後に

今回のブログ記事はEC studio 社長としての最後の記事だけに

この2年間の苦悩も含め全て詳細に書いたため、EC studio は大丈夫かと

心配された方も少なからずいらっしゃると思いますが、大丈夫です!

こういうことを書けているということ自体が、大丈夫な証拠であると

ご理解いただけると思います。

2011年末に2012年からは事業や業務の「選択と集中」をしていくことをスタッフに

発表し、社員満足や会社自体のブランディングを辞めることも決めていました。

原点回帰したこと、会社自体ではなくChatWorkというプロダクトに注目を

集めていくこと、3月には「超選択と超集中」で事業を統廃合して一つにすることを

決めて、全員のベクトルがひとつに揃い、EC studio 改め ChatWork株式会社は

全社一丸となってモチベーション高くChatWork事業に取り組んでいます!

今後ともChatWork株式会社、プロダクトのChatWorkをよろしくお願いいたします。

Original Page: http://blog.ecstudio.jp/ec_studio_blog/from_ecstudio_to_chatwork.html

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