2012年3月19日月曜日

リスティング広告における入札の極意

リスティング広告における入札の極意

japan.internet.com | Nov 30th -0001
リスティング広告などの運用型広告において、特に重要である「入札作業」。今回はその極意(というのは言い過ぎかもしれないが、何かヒントは得られると考えている)についてお話しよう。

ご存知の通り、「入札作業」は非常に奥が深い。我々はリスティング広告における入札の重要性を痛いくらいに理解しているため、様々なアプローチで入札の技術について、日々研究し、検証をしている。本記事ではその一部を紹介する。

(1)「入札作業」を因数分解すると、少し「コツ」が見えてくる

さて、それでは入札の種類を2つの切り口で分類してみようと思う。ひとつは目的の違いによる分類、もう1つは実施タームによる分類である。前者の分類では「予算コントロール入札」「成果改善入札」「その他(ブランディング入札など)」である。後者の分類では「ルーチン入札」「非ルーチン入札」に分けられる。この両分類が複合的に絡み、入札ロジックが成立する。

このように、一見、1つのロジックで考えられる入札作業を体系的に因数分解してみると、より明快で戦略的に入札業務を遂行できる。また、各社が提供するデジタルマーケティングプラットフォームの自動入札機能のうち、どれが適しているのかを判断する基準にもなる。


(2)「目的の違いによる分類」を理解し、より戦略的な入札を!

当然ながら、入札には目的がある。しかし、目的は状況に応じて変わってしまう。ほとんどの広告主が際限なく費用を投下できるわけではなく、予算に上限がある。その中で成果(多くの場合コンバージョン)を最大化に向かわせることを目標としている。この場合、予算という制約条件と、成果という目標が並存している。

また、さらには広告文の AB トライアルを実施するなどを目的に順位を固定して上位にキープする、または、特定の重要キーワードに対してはある程度採算度外視で上位の順位をキープするという入札(これが、「その他(ブランディング入札など)」として定義しているもの)が存在する場合がある。

我々、コンサルタントの人間はそれらの複合的な目標を管理し、最適な入札方法を設計するわけであるが、一度に全てを達成しようとすることは、非常に困難を極める。例えばあるクライアントでコンバージョン1件あたりの費用(以下「CPA」という)を最小化することを目的としていた場合、成果改善入札が最も楽な方法としては、予算をほとんど使わず、効率的なキーワードにのみ投下する方向である。(この目的を【1】とする)

もっと露骨に言うと、「3か月に数回しか検索されないが検索されたらほぼ100%でコンバージョンに至るキーワード」などへの投下である。そうすると当然ながら件数ボリュームを大幅に減らすことになり、これでは単なる効率的な価値の低い広告媒体に成り下がる。そこでもう一方の軸としては、成果がより最適化される前提条件で、残りのコストを配分する方向を探る必要が出てくる。(この目的を【2】とする)

つまり、この入札では【1】、【2】の両方の目的が並存していることになる。これをあまり考えず、一気に両方の目的を達成しようとすると、どちらの目的にも、極めて影響の少ない曖昧な入札になるか、どちらかに目的が偏った入札になってしまうおそれがある。これらを戦略的に組み立てることで、目的軸で因数分解をすることでより精緻に行うことができる。

(3)「実施のタームによる分類」を理解し、効率的・スピーディな入札を!

さて、もう一方の概念がこの実施タームによる分類であるが、こちらの分類はよく見落とされがちであるように思う。この点を理解して頂くと、我々が重要なキーワードへの入札に対して、ルールベースの入札を推奨する理由がご理解いただけるのではないだろうか。

まず、「ルーチン入札」は徐々に目的に向けて補正をしていく考え方の入札である。QC7つ道具の管理図をイメージしていただくと分かりやすいが、上方管理限界線と下方管理限界線の範囲内で成果のバラツキをコントロールできるよう、入札により調整をしているイメージである。

一方で、「非ルーチン入札」は非定期的に環境の大きな変化やスピードアップの目的で実施が必要となる不定期の入札形式である。なぜ、この入札タイプが必要なのかというと、例えば「予算が大きく変わった」「成果目標が大きく変わった」「新しくキーワードを入稿した」「着地ページや広告文を変えた」「テレビ CM を行い、認知度が大きく上がった」など理由は様々である。これらをルーチンの入札の中で行うには限界がある。

その例をご紹介しよう。目標 CPA(仮に5000円とする)が現状の CPA(1000円)の5倍である場合、通常、80%〜120%の範囲を中心に行う入札ルーチン入札ではその他の変数が変わらない前提で理論的に考えると入札単価を500%にすることになる。しかし、120%で入札した場合、そこに到達するには8〜9回の入札が必要である。

従ってこのような入札は、不定期と位置づけ、管理図でいうと上限と下限の間に早く位置付けてしまって、そこから改善フローに乗せないと大きな機会損失を生むのである。また、これらの非ルーチン入札はリスティング広告における大きな成果の流れが表れることが多くその原因分析をすることで、成果改善につながることも大いに考えられる。

この意味で、我々は特に、ルーチン入札と非ルーチン入札を分けることを推奨し、その分離が明確に現れるルールベース入札を多くのケースで推奨をしている。(※誤解がないように添えておくと、もちろんポートフォリオ入札も用途によって大活躍することも忘れないでおきたい。)

以上、リスティング広告における入札作業の極意についてまとめたが、リスティング広告入札の際、戦略的かつ効率的、スピーディーに入札業務を遂行できるよう、今回のポイントをぜひ役立ていただきたい。

(執筆:株式会社アイレップ リスティング広告コンサルティンググループ 村上和也)

Original Page: http://japan.internet.com/column/busnews/20120306/2.html

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